第八章 心の影



強い邪悪な力を目指し始めた二人。既に半日は経過していた。


町とは、随分離れひと気もない道で二人は無言で足早に歩いていた。


「なぁ、ウィル」

足を止めるギア。


随分早かった・・・。この時が来るなんて・・・。


ギアの声が聞こえると、足を止める。

「ギア」


振り返るとギアは、数歩後ろに下がり剣を引き抜いていた。

顔を下げていて表情は見えなかったが、ギアは無表情だった。


「へへ、こんな時がいつか来るんだって思ってた。ウィル、お前は眠っているだけで
 セアルの力は、お前自身が持ってるんだよ・・・。」

顔をあげ、右手で抜いた剣を、そのまま下げる。


「…」


「今、復活したセアルは、不完全なんだよ。完全になるためにはウィルが必要とされる。
 父さんが、いつも俺に言ってた。いつか必ずセアルが復活する。もしもの時は・・。」

「俺を」

ウィルは黙っていたが口を開く。


レグ、言っていたのは、この事だったのか・・・。

出発前、レグが言っていた事を思い出すウィル。


「剣を抜けよウィル。お前、ココで俺に殺されたくないだろ?」

下げていた剣を構えて、険しい表情をする。


平和のために、ココで俺が・・・。俺の手で・・・。


「ギア・・・。」

首を横に振り、長剣を抜こうとはしなかった。

そうだよな。ギアは、正しいよ・・・。


お互いに、ゆっくり目を瞑る。


「俺が、剣術を習ったのはお前を・・・。一緒に練習したのも、お前の癖とかを・・。
 最後くらい、手合わせしろよ。」

そっと目を開けるギア。


剣術か・・・。

ウィルは目を瞑り続ける。

まだ、心と記憶をなくしてから間もない頃、一緒に剣の練習をしていた事が頭に浮かぶ。

何も知らないウィルに、ギアは父から教わったばかりの剣術を教えて一緒に練習していた。

その隣でいつも、動きを真似するレグ。座ってみているフィア。

ゆっくりとした時間、平和な世界。その時は当たり前のように流れていた。



「ふっ、どうせお前には心がないか・・・。破滅は御免なんだよウィル・・」

感じることも、俺達と違って無いんだよな・・・。


会った時から、思ってたんだ。表には出さなかったけど俺はずっと・・・。

俺の心の中の影では。


なぁ、ウィル。


世界のために・・・
 

















           死んでくれ・・・・。






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